新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。また、旧年中はひとかたならぬご厚情を頂きまして誠にありがとうございます。

 2020年を振り返りますとコロナという現代人が体験する見えない敵との戦いの一年だったと感じます。私たちも動物の飼育においては感染症との戦いでもあります。動物たちは子供の頃に病気をすることでその群体がすべて罹患してしまうリスクが常にあります。その為毎日の検温と食事の管理、飲水が適切に与えられているかをチェックするなどの早めの対処がとても重要になります。服についたウィルスだけでも感染することがあるため、私たちも妊娠後期の馬と現役の競走馬の厩舎を行き来する際には服を変え、靴を変え、出入り口には消石灰、踏み込み消毒槽の設置、厩舎の水洗いと消毒を行いと徹底的に対策を行ってから動くようにして繁殖シーズンに向けて注意しています。

 弊社の競走馬部門においては、馬と人との関係性を深め、幸せな馬を一頭でも増やしたいと考え、生産から育成までの一貫体制のもと調教を行っております。生産部門は種付けから競走馬が生まれるまで、育成部門は生まれてから離乳までの「初期育成」、離乳から馴致前までの「中期育成」、馴致から入厩までの「後期育成」とに分け、管理しております。さらに育成部門の中にイヤリングチームを設けており、生まれてから競走馬になるまでに必要な準備を十分に行うことで競走馬としての調教にスムーズに移行できるようにしております。また、育成からトレセン入厩まで、トレセン入厩後から競走馬、繁殖入り、乗用馬への転用などまで、競走馬の一生のすべての局面において、責任を持って関与させて頂きたいと考えております。これも人とサラブレッドとの信頼関係を深めるとともに、個々の馬の性格を把握し、怪我やストレスを与えず「幸せな馬」を育てることが我々の役割だと考えているからです。

 新たな試みとしては一昨年よりアメリカの繁殖牝馬セールにて繁殖牝馬を購入し、アメリカでの育成及びアメリカ血統の繁殖を日本へ輸入することで血統の広がりを持たせることに挑戦しております。

 本年もどうぞ変わらぬお付き合いのほど宜しくお願い申し上げます。皆様方の益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。

令和3年1月1日
株式会社クラウン
代表取締役 矢野恭裕