従来の無動力・自動ゲート(フラップゲートなど)がもつ欠点を克服し、洪水時に安全・確実に閉鎖することを目的に開発したのが、この「上ヒンジ式浮体ゲート“Uゲート”」です。

構造は、きわめてシンプルなもので、平水時は、河岸面からの張り出し先端にもうけられたヒンジを軸に、ゲートは逆Lの字形をしてぶら下がっています(図1参照)。


扉体は中空の浮体構造となっているため、河川水位が上昇し扉体の約75〜80%が水没すると、浮力によりゲートは自動的に開口部を閉鎖します(図2参照)。このように“Uゲート”は、平水時に一定の開口を確保しているために、フラップゲートのようにゲートと戸当りとの間に異物が挟まる恐れ(図3参照)はほとんどありません。また、ゲートが上部から吊られたかたちで空中に保持されているために、扉体上に堆積物がのるといった浮体構造起伏ゲートの弱点(図4参照)も完全に解消することができます。

●無操作・無動力であるため、操作ミスなどを避けることができるうえ、維持管理費が節約できる。
●平水時において開口しているため、魚類・節足動物などの移動をさまたげず、環境にやさしい。
●浮体構造起伏ゲートにくらべ格段に安く、フラップゲートよりもやや安い価格で製作しうる。
●扉体はアルミ、その他の部材はステンレスでできているため、腐食の恐れはない。



現在までに考案されている自動ゲートの代表的なものは、フラップゲートと浮体構造起伏ゲートです。しかし、いずれのゲートも、図3および図4に示すような欠点があります。


フラップゲートの欠点
平水時、ゲートはほぼ閉じた状態にあるため、堤内側からの小流量により運ばれてきた異物(木の枝、空き缶、空き瓶など)がゲートと下部戸当りとの隙間にかみ込み、洪水時にゲートが完全には閉まらず、本川洪水が堤内側に逆流する恐れがあります。
浮体構造起伏ゲートの欠点
平水時、ゲートが水路底面に平伏しているため、扉体上に土砂等の堆積物がのったり、異物がヒンジにかみ込んだりすることによって、本川洪水時にゲートが閉まらない恐れがあります。






ゲートの種類 上ヒンジ式浮体ゲート(常時開放型フラップゲート)
閉鎖水位 河川水位が樋官函体高の75%〜80%(サイズなどにより異なる)に達したとき
再開放水位 洪水後、内水位が河川水位より5cm程度(サイズにより異なる)高くなったとき
設計水位 サイズ等により異なるが、おおよそ3m〜5m
対象内水
最大流量
樋官函体高の80%水深相当流量
材質 扉体:アルミニウム(A5083)、シルバー色塗装
その他:ステンレス(SUS304)、酸洗い




  寸 法 (m) 
丸 型 0.6、0.7、0.8、0.9、1.0
角 型 1.0×1.0、1.1×1.1、1.2×1.2、1.3×1.3、1.4×1.4、1.5×1.5、2.0×2.0
備考
1)価格については「建設物価」の土地改良材−規格水門の項をご参照ください。
2) 戸当りの取り付け方は、丸型の場合は後施エアンカー方式を、角型の場合は箱抜き方式を標準としています。
3) 上記の規格品以外の寸法のものについては、特注となります。


1,100mm角(箱抜き方式)Uゲートの現地写真(埼玉県内)








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